「新発見の地と私」 横浜美術館の屋上農園

要旨:
「新発見の地と私」とは理想的な土地利用に関する政策表明であり、横浜美術館屋上の有機農園の発展と維持を通じた活動的社会貢献のプラットフォームである。

序論:

「日本では、自然資源が限られているために消費食料の60%を輸入しているが、これは経済先進国の中で最も高い数字である。社会的関心は汚染食品、特に中国からの輸入品に向けられている。昨年、日本人は殺虫剤の混入した中国製冷凍餃子とインゲン豆によって病に倒れた。」

—東京の低温化を助ける屋上農場経営 AFP/Harumi Ozawa、2008年11月5日


工業化された食物生産は前もって保証されているようなものである。我々はめったに卵がどこから来たか考えないし、タマネギがどのくらいの時間をかけて育成したのかなど考えもしない。同じように、美術館においても人は芸術の制作過程を見る事はなく、来場者が便利に鑑賞できるように壁や純白の部屋に置かれた作品を見るだけである。どちらの場合にしても、一般社会での関心事は不注意な生産過程ではなく、最終的に出来上がった製品である。「新発見の地と私」とは、生産過程に再び注目し、美術館来場者に、新しい土地利用という形で、都心の美術館に期待する以上の経験を提供するプロジェクトである。有機農園は、地域の心の健康を「養う」美術館の役割に対する文字通りの政策表明である。美術館の芸術作品が他の世界への窓の役割を果たすのと同じように、屋上農園もまた、主要文化施設の建築に物理的に置かれた平行宇宙という、新しいユートピアの光景である。美術館/農園は、創造力と文化を賛美する場、地域メンバーの集合場所、そして食物生産センターという幾つかのレベルで同時運営され、これら全ての要素がお互いのバイタリティーを刺激する象徴的関係を生み出す。目的は、「新発見の地と私」の中でこれら全ての要素を培うことである。

プロジェクト説明:

「新発見の地」屋上農園では季節の野菜を飼育し、ゴミを自家堆肥し、放鶏と蜂蜜用の蜂の巣を特徴とする。 屋上農園は美術館の開館時間中一般開放され、近くの高層ビルで働く会社員はこの屋上でランチを食べ、恋人達は隅の静かな場所を見つけて抱き合う。日本の自殺率は下がることだろう。美術館では、このプロジェクトに共感する地元の食物生産者や環境学者、建築家、社会活動家等による講義を定期的に開催する。季節ごとの食物祭や料理クラスの開催は前提とし、雨のための儀式祈祷と豊作の踊りは屋上で行う。農園でできた産物は美術館のショップで、通常のスーパーマーケットの売値と同等あるいは低価格で販売。売却利益は農園の維持とスタッフの給料とする。農園の作業を手伝うボランティアも歓迎。生産物を購入した人は家族や友達と素敵な食事をすることができる。日本の自殺率は下がることだろう。

「新発見の地」農園は地域経済を活性化し、安全な食材を育て、都心の不動産を資本化し、地球温暖化に立ち向かい、みなとみらいに自然空間を創造する。農園は美術館と地域社会に新しい交流の道を開く前向きな力となる。屋上は美しく、みずみずしく、機能的でオーガニックであり、完璧な美しさをもって造園設計されており、神性の香りがする。


プロジェクトの要素:
• 季節の地域生産物を育てる、審美的に造園設計された有機農園
• 美術館の屋上への一般アクセス
• 堆肥 – カフェやオフィスからの生物分解性廃棄物を沃土に変質
• 地域産ハチミツ用の蜂
• 放鶏と卵

生産物:
• 美術館のショップで売られる、地元で生産された美術館ブランドの野菜、ハチミツ、卵
• ゴミの再生産物
• 都市農業の教育材料
• 地域住民の雇用と経済の活性化
• 地域環境の低温化

必要なもの:
• コンサルタント:有機栽培と地元の野菜に詳しい農業専門家
• スタッフ:作物、養蜂、鶏飼育、初期建設基礎工事のための作業労働者、労働者
• プランター(できればリサイクル)
• プランター、ベンチ、建築、彫刻などの製作用資材
• 土 / 腐葉土 / 木質チップ
• 水源
• 排水系
• 養蜂用の備品
• 鶏飼育用の設備と備品
• 鶏のえさ
• 自然要素の協力: 日光、雨
• 時間